前回は、社会調査についての知識をまとめました。社会調査について① 量的調査の方法とは?
そして、今回は訪問面接調査の実際をお伝えしつつ、知識を定着させようと思います。
そう、実際に調査員が家に来て、調査をしていったんです。怪しい、詐欺じゃない??さて実際はどうだったでしょうか?
前回も述べましたが、訪問面接調査については、本当にこんなことしてるの?と正直思っていました。
いや、言ってる意味は分かりますよ、調査員が家に来て、質問して、対象者がそれに応えて、その答えを調査員が紙に書いていくんでしょう??その場で答えるからそりゃ正確な答えを得られるし、回収率も高いわな、と。
でも、今の日本で、そんなめんどくさいことするー?みたいに思ってたんです。
そしたら、実際に来たんです。調査員が。
訪問面接調査の実際
前日
調査前日に「ご協力のお願い」の厚紙が投函されていました。何についての調査かはここでは伏せます。
担当者の氏名が記載され、またアンケートの進め方や、標本の抽出方法や回答の取り扱いについてもしっかり記載がされており、会社も大手のリサーチ会社で、これは詐欺などではないと判断できました。(どうやら、有名リサーチ会社を名乗って、財産について聞き出したりし、回答を拒否したら金銭を払えと脅すなどする悪質な詐欺もあるようです。)
アンケート調査を行う上では、必ずその目的と方法、そして対象者の回答をどのように取り扱うかをまず対象者に対して明確にすることが基本です。そして回答しなかったとしても何の不利益もないことを伝える必要があります。
これらが明確になっていれば、まず安全性は高いです。逆にこれらのことがなされない訪問は、すべて悪質と言っていいでしょう。
当日
調査の説明
さて、調査当日には、調査員の方が来られました。まず改めてご協力のお願いの紙を渡していただきました。前日のものよりもさらに、調査の目的と内容や個人情報の取り扱いについてしっかりと書かれた紙でした。
また、調査方法や調査時間の目安に加え、調査への協力が任意であり、調査中であっても断って良いことや、断ったことで不利益が生じることはないとの説明も記載されており、ご説明も受けました。
調査の実際
さて、私は結構分厚い回答が書かれたカードの束を渡されました。質問は調査員が読み上げ、その質問に応じた回答カードに書かれた選択肢から、どれか選んで口頭で答える、と言った方法でした。質問紙は一切見せられることなく、調査員が記入していきました。
少し内容の分かりにくい質問は聞き直すと分かりやすく言い直してくださったりしたので、10分ほどでスムーズに返答することができました。
10分での回答はかなり早かったようで、1時間近くかかることもあるとのことでした。回答を考えている時間も、特に急かされることなく、自分のペースで回答をすることができ、調査員の態度が回答に影響を及ぼさないよう気をつけておられることもよく分かりました。
調査の終わりに
最後は個人情報もいくつか聞かれましたが、これに関しては新聞にデータとして掲載される際、匿名性が保たれていることや、どこまでがデータとして載るか、と言った説明もしてくださいました。
このような調査方法は、私は、今まで本当に実際なされているのかと思っていたほどで、初めての体験だったのですが、調査員の方は、もうかれこれ30年ほどこの仕事をしている、と話しておられました。最後に謝礼として少額ではありますが、とプリペイドカードを頂きました。
まとめと感想
今回、訪問面接調査を実際に受けるという、貴重な経験をすることができました。世論調査や社会の意識調査は、国を動かす上での大切な指標になるでしょう。社会福祉も同じく、国民や住民の意見が何より大切で、このような社会調査の意義を考えさせられました。
また今回、全国の中から無作為抽出法によって3600世帯を標本として抽出しており、調査対象が18歳以上の日本国民全員とすると、そこから母集団が偏らないようにしっかり確率理論に基づく抽出方法で標本を抽出していました。紙上の学びが実際に体験することで、理解を確実なものに近づけることができました。
一方、私はこのように社会調査についての学習をしていたからこそ、その調査が安全なものかを判断でき、特に何の抵抗もなく、調査を受け入れられたのかも知れない、とも思いました。
昨今は悪質な詐欺や販売、勧誘などの訪問も多く、調査員の訪問に対していい印象がない人がいるのも現状です。対象者としては安全性を判断する力もまた必要であり、調査側としては、丁寧な説明や、個人情報取り扱いや倫理的な規則(社会福祉士であれば倫理綱領)の遵守が必須であると感じました。
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