はじめに🌼
病院勤務で、患者さんのために一生懸命働いてきた私が、なぜ適応障害になったのか、
そしてどのように回復していったのか。
この記事では、その道のりをお話しします。
心が限界を迎えるまで⌛️
私は大学を卒業後、そのまま大学病院に就職し、約10年間、血液腫瘍内科で看護師として働いてきました。
白血病や悪性リンパ腫の患者さんの看護を担当し、2年間は他院に出向して造血幹細胞移植の看護を学ぶなど、
本当に濃い時間を過ごしてきました。
責任は重くなっていきましたが、仕事は好きでした。
学ぶことも楽しく、患者さんと関わる時間も充実していて、「大変だけど楽しい」と思っていたのです。
しかし、あるときから突然、「病院に行きたくない」「仕事に行きたくない」 という気持ちが強くなりました。
朝起きるのがつらく、涙が止まらない日も増えていきました。
気づけば、家に帰ると泣いてばかり。
休みの日は外に出る気力もなく、「もう消えてしまいたい」とまで思うようになっていました。
相談できない私と、助けてくれた人たち🌱
当時の私は、家族には相談できませんでした。
「弱音を吐いたら認めてもらえない」と勝手に思い込んでいたのです。
職場でも「できる人」と思われていたくて、必死に笑顔を作っていました。
そんな私の変化に気づいたのは、同僚でした。
彼女がそっと師長さんに伝えてくれ、院内カウンセラーにつないでくれたのです。
最初は「話しても意味がない」と思っていましたが、
カウンセリングの中で少しずつ自分の気持ちをノートに書くようになりました。
ただ、それでも本音を出せず、頑張って“○の日”を増やそうと努力してしまう自分がいました。
ある日、ようやく外出した美容室で、施術中に嘔吐してしまい、その場で大泣きしてしまいました。
その出来事をきっかけに、私はようやく家族に「助けて」と言えました。
そして心療内科を受診することになったのです。
心療内科で出会った言葉:「まずは休みなさい」🌵
診察の中で先生に言われた言葉が、今でも忘れられません。
「なぜつらい話をしながら笑っているの?」
「それは“絞首台の笑い”と言ってね。自分を責める笑いなんですよ。」
そう言われた瞬間、張りつめていたものが崩れました。
そして先生はこう続けました。
「あなたは十分頑張ってきた。だから、まずは休みなさい。」
私は戸惑いました。
「仕事を休むなんて迷惑をかける」「好きな仕事なのに」——そんな思いがありましたが、
先生は有無を言わさず、3か月の休職を勧めてくれました。
その間は「寝たければ寝ていい」「何をしてもいい」と言われ、
少しずつ薬を飲みながら、読書をしたり、好きなドラマを見たり、
“何もしない時間”を取り戻していきました。
自分を見つめ直して気づいたこと
復職の時期が近づいたとき、先生に相談するとこう言われました。
「全然うれしそうじゃないね。」
その言葉でハッとしました。
私は「戻らなければ」と思い込んでいただけで、心の底から望んでいなかったのです。
結局、退職を選びました。
そこから私は、心理学の本を読んだり、適応障害について学んだりしながら、
自分の考え方や性格のクセを見つめ直しました。
・完璧主義で、頑張りすぎる
・人の評価を気にしすぎる
・「やりたい」より「やるべき」で動いてしまう
そうした傾向に気づくうちに、ようやく「自分を知る」という意味が少しずつわかってきました。
またそのような性格、性質だからこそ、本当は辛いのに、自分の気持ちに気づかず、働き続けていたことにも気づくことができました。
再出発と、新しい学び📖
静かな場所で暮らしたくて、実家のある田舎に戻りました。
近くの介護施設で働き始め、夜勤もなく、少しずつ生活のリズムを整えていきました。
働くうちに、「医療だけでなく、福祉の視点をもっと学びたい」と思うようになり、
通信で社会福祉士の勉強を始めました。
仕事と勉強の両立は簡単ではありませんでしたが、
「自分で選んだこと」だからこそ、やりがいがあり、最後まで続けられました。
そして第37回社会福祉士国家試験で一発合格。
落ちても納得できるくらい、やり切った実感がありました。
結果として合格できたことは、自信にもつながりました。
そして今、「心と身体のつながり」を伝えたい
看護師として、そして社会福祉士として、
私は「人を支える仕事」をずっとしてきました。
その中で、
「人の心が回復すると、身体も元気になる」
ということを、身をもって感じています。
だからこそ、これからは
「心と身体のつながり」や「自分らしく生きること」について、
少しずつ発信していきたいと思っています。
このブログが、今つらさの中にいる誰かに、
「ひとりじゃない」と伝えられる場所になればうれしいです。
最後に🌸
私は今でも、完璧ではありません。
でも、“無理に頑張らなくていい” ということを知ってから、
生きることがずいぶん楽になりました。
あなたにも、どうか自分のペースで生きてほしい。
そして、もし今つらいのなら、「助けを求めてもいい」ということを忘れないでください。
↓私が回復期に読んでいた本の一部を紹介します。言いたいことの本質は同じ。だけれどそれぞれ違う切り口からお話ししています。


