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防衛機制まとめ ~心を守るしくみを理解する~

福祉と医療

はじめに:防衛機制シリーズの一覧

これまでの連載で、防衛機制を一つひとつ取り上げてきました。

まずは一覧で振り返ってみましょう。

[反動形成] … 本当の感情とは逆の行動をとる 反動形成。わざと逆のことをする?バーンアウトを避けるために

[合理化] … 失敗や矛盾をもっともらしい理由で正当化する 合理化とは?〜医療福祉の現場から考える心の働き〜

[投影] … 自分の感情や欠点を相手に映し出す 心の働きを知ろう。自分の心を相手に映し出す「投影」の働き

[退行] … 不安に耐えきれず、幼い行動に戻る 退行とは?大人でも子どもに戻ってしまう心の動き

[昇華] … 欲求や葛藤を社会的に価値ある形で表現する心の働きを医療者の味方につけよう。ネガティブなエネルギーを前向きに変える心の力、昇華

[抑圧] … 受け入れがたい記憶や感情を無意識に押し込める心の働きを知ろう。「抑圧」は医療者にありがち?気持ちを心の奥へ押し込める働きとは

[否認] … 受け入れがたい現実を認めない心の自然な働きを知ろう。現実を受け入れられない働き、「否認」

[置き換え] … 本来の対象に向けられない感情を、別の相手にぶつける 心の働き「置き換え」とは?本音を別の相手や物に向ける心の働き

[同一化] … 自分が持たない力を他者と重ねて安心を得る 心の働き「同一化」とは?憧れや尊敬を自分の力に変える

[知性化] … 感情を抑え、理屈で処理しようとする防衛機制の「知性化」とは?感情を理屈で覆い隠す心の働き

[補償] … 自分の弱点を他の長所で補う 「補償」とは?弱みを強みに変えようとする心の働き

[解離] … 強いストレスから心を切り離し、記憶や感情を分離する心の働き「解離」とは?つらい現実から心を切り離す

防衛機制とは?

防衛機制とは、人がストレスや不安に直面したときに、心を守るために無意識に働く心理的な仕組みです。誰もが日常的に使っており、時に成長や努力の力になり、時に現実から目を背ける要因にもなります。

医療現場での防衛機制

看護師として働く中で、防衛機制は自分自身にも患者さんにも現れます。看護師に限らず、社会で生きていれば、誰でも無意識に行っていることが多いでしょう。

患者さん … 病気や死に直面したときに、防衛機制を通して不安や恐怖に対処する。

看護師自身 … 多忙や責任の重さの中で、無意識に防衛機制を使い心を守っている。

メリットとデメリット

メリット

不安を和らげ、心の安定を保つ 成長や努力のきっかけになる 人間関係を保つ助けとなる

デメリット

現実から目を背ける原因になる ストレスや葛藤の根本解決が遅れる 過剰に働くと心身の不調を招く

まとめ

防衛機制は「悪いもの」ではなく、人が生きていくうえで自然に備わった心の仕組みです。

大切なのは、自分が普段と異なる心理状態にあると気づくことです。それがストレスの軽減に繋がります。そのためにこれらの防衛機制を理解しておくと、自分を客観的に見ることができるようになります。セルフケアが必要だ、誰かに話すことが必要だ、と気づくことができます。

また、医療福祉の分野に関して言えば、医療職である私たちがそれを理解していれば、患者さんや仲間に対する支援の視点も広がります。

このシリーズを通して、防衛機制を「自分や人を理解するためのレンズ」として活かしていただければ幸いです。

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