前回に引き続き今回は、看護職の視点や役割を理解し、介護職からの歩み寄りができないか、考えてまとめてみます。
看護職の役割
看護職は、利用者様の病気、病態をまず最初に把握します。それから次にその人のバックグラウンドを把握し、その人に応じて病気の増悪の予防に努めたり、他に起こりうる症状などを見逃さないように努めています。そのため、看護師には何をするにもその根拠を考える習慣があります。これはなかなかの看護師あるある、特徴だと思います。病気病態を把握して、健康を支える、これが福祉施設でのメインの役割です。
看護職から聞かれる介護職への不満
生理学的、解剖学的なことを知らないのに医療面のことを言ってくる。(例えば便秘でもないのに、忙しい時間帯に排便してほしくないから何時に浣腸すればいいじゃん、など)。内服薬について理解がない。看護師を医師と間違えている。診てもらったらなんでもすぐ分かって治せると思っている。など聞かれます。
介護職からの歩み寄り
看護師は目に見えて利用者様に起こっている現象だけで、単純に病名と結びつけることは絶対にしません。まず、病気の診断は医師の仕事です。看護師は考えられる病気を推測することはしますが、その病気だとは断言しません。そして、現在起こっている身体状況が、なぜ起こっているのか、そして今後どのようになる可能性があるのかをアセスメントします。またそれによって現在行うべき対処を考えます。その対処法は、その人の背景や年齢、他に持っている疾患や内服薬などによっても変わってくるでしょう。つまり、同じ症状が2人の人に出たとしても、その原因は違うかもしれないし、対応方法も変わってくるのです。
もう一つ、上でも述べましたが、看護師は根拠を常に考えています。例えば浣腸一つする際にも、浣腸の適応、禁忌、副作用などの根拠に照らし合わせて、実施するかどうかを見極めます。また浣腸を左側臥位で行う根拠も理解していなければいけません。摘便も、ただ便をほじくり出せばいいわけではなく、どのような状況の時に行うのか、注意点は何かを知る必要があります。内服薬も、自分の知らない薬は患者様に飲ませてはいけない、と教えられます。知らなければ必ず調べて、どのような作用があるのか、副作用は何かを知った上で内服してもらうようにしています。
それらは、医療に携わる上では最低限のマナーです。生活を支えてくださる介護士の方々には、それらを詳しく学ぶ必要はもちろんありません。ただ、医療的な視点がこんな感じなんだ、ということを、雰囲気だけでも理解してもらえれば、看護師とのコミュニケーションの取りやすさに生かせるのではないかと思います。
まとめ
介護と看護は重なり合う部分はあっても基本的に別の立場の仕事です。しかしお互い、対等な立場のものです。ですから、それぞれの視点を少しだけでも知っておくことが、お互いの歩み寄りに繋がるのではないでしょうか。
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